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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ


オンカーソルで色が変わります。

永井豪ファンクラブの磯貝さんに誘われて観てきました。もともと興味はあった映画だったのですが、とてもいい作品でした。
ヒューマントラストシネマ有楽町は、私の記憶の中の、かつてごく近くにあったミニシアターとはまったく違っていて、きれいなシャンデリアの下がったロビーで、光り輝くモニターを使った指定席制でした。
ひさしぶりにピシッとしたスクリーンと真っ暗な場内で映像を観ました。

以下ネタバレです。
前もって「フェリーニの、ある映画へのオマージュがあるらしいですよ」と言われ、楽しみにしていたら、始まってすぐに『道』だということがわかりました。
そう言えば主人公の声も少しアンソニー・クインに似ているかも…… 昔『道』がとても好きだったことも、この映画にすんなり入れた理由かもしれません。

しかも、『道』のラストが投げ出すように終わらせてしまったその先の可能性を、描こうとしているのです。
ザンパノがなれたかもしれないもの。
とにかくこの映画(ジーグ)では、とても好きなシークエンスがあって、そこからは泣けて仕方がなかったです。

ショッピングモールで主人公とヒロインが、デートのようにそぞろ歩きをするのですが、
その時に、彼女が道行く人たちの人生を「勝手に想像する」と言うのです。
「あの人の名前は○○、実はあそこにいる☓☓のことが好きで…」と言う調子。
主人公もやってみるようにうながされるのですが、「郵便局員で…」などとぎこちなく、「それじゃつまらない」と彼女に一蹴されてしまう。
彼女がわかってほしいことが、彼にはわからない。
セックスなのか?と思ってやってみるけれど、それも違う。彼女にとっても、自分にとっても。

そしてあの車の事故の後、母親に抱きつかれているうちに、彼の視界のピントがみるみる合っていくように、
目の前にいる「人々」にもそれぞれ「人生」があるのだということが、彼に初めて”わかる”のです。
横たわって見つめ合う愛する彼女と、同じものが、この世のすべての人の中にある。

その時、ついに彼はヒーローになるのです。